キャディでエンジニア採用を担当しています片渕です。
本記事では、2022年3月29日に開催されたエンジニアの社内勉強会「STUDDi」、Yaoからのプレゼン内容をレポート形式でまとめています。
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PLCを語る上で欠かせないのはFA
Yao:
私の方からは今回、PLC(Programmable Logic Controller)に関してお話します。
PLCを語る上で欠かせないのはFA(Factory Automation)で、名前の通り生産現場の生産工程の自動化を図るシステムの総称です。
出典:https://www.denso-fy.co.jp/business/
タッチパネルやワーク投入口、非常停止ボタンなどがあります。
FAを構成するコンポーネント
FAを構成するコンポーネントを紹介しますと、まずはスライダーです。 出典:IAI 1軸ロボット https://www.youtube.com/watch?v=hvGYRJ3Cqys
これはFAの中で一番重要なものになりますが、加工するワークを搬送して、加工機に送り込むもので、直線的に移動させるものが必要になります。
シリンダーで動くもので、中にボールネジ(円柱状のネジを切っているもの)が回転して、構造物を動かしている仕組みになっています。
出典:ヤマハリニア搬送 https://www.youtube.com/watch?v=5bQXPJvl01Y
リニア搬送は2015年くらいから始まったもので、ヤマハの製品が有名です。
特徴としては移動が速く、ワークを把持したまま移動できることで、ネジを回転する機構ではなく磁石の力で動かしています。
搬送系は、基本的には端にいくと次の搬送機器に取り置きする機構が必要ですが、リニア搬送では乗り継ぎ機能がついており、取り置きなしでワークを搬送することができます。
しかし、実装管理などが大変なので、大量生産ラインかつ資金が潤沢であるところで利用されることが多いです。
インデックステーブルは簡単な機構かつ安価で、ステッピングモータを使って一定角度ずつ回転するものです。
出典:インデックステーブル https://www.youtube.com/watch?v=4q8fpRYNt2w
場所はとりますが、簡単な機構でワークを順送りできるのが特徴です。
それから直行ロボットは、IAIが使っているものを2つ組み合わせていますが、難易度の要求が高くない時によく使われます。
出典:IAI https://www.youtube.com/watch?v=hvGYRJ3Cqys
搬送して、取り置いていく作業が基本動作になります。
その他には、6軸ロボットに加えて、マシンビジョンをつけていくものがあります。
出典:デンソーランダムピッキング https://www.youtube.com/watch?v=me1MnsZhwRk
指定されたポイントに移動するものを連続させていくのですが、これはマシンビジョンと組み合わせているので、バラ積みの部品供給などに使われたりします。
本来であれば、パレットに対象物がきちんと並んでいて、定位置で取っていった方がシステム的には安定します。
出典:パーツフィーダー https://www.youtube.com/watch?v=PsKvgdphEY8
こちらはパーツフィーダーで、金属部品を投入口に運ぶのですが、圧電素子によって微振動を起こして部品を運んでいくものです。
ランダムな姿勢になっているものを、目的とした姿勢の部品だけを取っていきます。
センサー類としては、スイッチやワークの有無、位置計測に使われるエリアセンサーなどがあります。
コンポーネントはどのように制御されるのか?
さて、ここまでご紹介してきたコンポーネントは、どのように制御されるのでしょうか。
組み込みで思いつくのはマイコン・FPGA・PCなどが考えられがちですが、実際の現場はPLCによって行われています。
PCLはシーケンサーとも呼ばれ、エレベーターなどリレー回路で制御されてきたものの代替装置となります。
リレーシーケンスは、電磁リレーを利用します。電流を流すと金属が引っ付いて、別の端子がOnになるようなスイッチング素子を組み合わせて、エレベータや自動販売機、信号機や工場の自動生産ラインなどで使われてきました。
一例として、自己保持回路というものがあります。ランプをOn/Offを保持する回路を例に考えてみます。
スイッチ緑がOnするとリレー制御側がオンとなり、ランプがついてリレーのOn状態が保持されるというのが自己保持回路というもので、これがシーケンス制御になります。
PLCとは
PLCとは、配線によるリレーシーケンス制御を電子的に再現している制御機器です。
PLCを制御するのはラダー言語。
これはリレーシーケンス回路にGUIが備わっており、GUIで定義された回路図を、1つ1つのニーモニックに置き換えられて処理されています。
回路上の、1つ1つの回路への入力・出力を評価していき、最後の回路に到達するとまた先頭の回路に戻ってきます。
この1ループをスキャンといい、1~10msほどの処理時間になります。
PLCでは、スキャンを無限ループしてIO制御をしています。
なぜPLCが使われるのか?
PLC利用がなぜ使われているかというと、プログラミング言語になじみがなくても開発・保守ができる点にあります。
生産設備など複雑なロジックではなくて、センサからの情報と次に起きるアクションを決定するものなので、状態遷移との相性が良いです。
産業機器としても耐環境性あり、機械的・電気的にも強いです。マイコンなどはノイズ対策が必要になりますし、ノイズによってロボットが暴走して意図しない動きをしてしまうと大きなリスクになります。
また、周辺機器が充実しているので、PLCが制御側となりますが、CCリンクで20m先のモータを動かしたり、操作板にてOn/Offが可能です。
PLCは、下位レイヤーに対してはリモートIOを経由し、IO通信に特化したネットワークを経由して、モータやロボットを制御しています。
上位レイヤーに対しては生産ラインの工程管理などIoTなども含め、ロボットの稼働時間や故障時のログを収集するシステムと連携します。
おわりに
以上、Yaoからの社内勉強会の内容をまとめたレポートととなりますが、いかがでしたでしょうか。
記事内容をご覧いただいて、興味持った方はこちらにて、お話する機会をご用意しておりますので、ぜひご活用ください。
また社外向けに一般公開するイベントに関する情報は、キャディのCONNPASSをご用意しておりますので、こちらもご登録いただけますと幸いです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。