キャディでエンジニア採用を担当しております片渕です。
今回は、2022年3月8日に開催されたエンジニアの社内勉強会「STUDDi」、八巻からのプレゼン内容をレポート形式でまとめています。
キャディでは製造業DXに取り組んでおり、社内の受発注オペレーションも内製でシステム開発をしています。 今回のテーマは受発注オペレーションと関わりの深い会計ドメインナレッジの「収益費用対応の原則」になっています。
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「収益費用対応の原則」について
受発注では取引を通じてお金を扱いますが、このお金の扱い方は会計でルールとして決められています。 その中でも受発注オペレーションと関わりの深い「収益費用対応の原則」を説明します。
用語
「収益費用対応の原則」を説明するために、いくつか会計の用語の説明をします。
仕訳
会計データは仕訳で登録します。会計取引のデータ様式で、取引日・賃貸借の区分・勘定科目・仕訳金額などで構成されます。 仕訳データはイベントデータで、更新はされず常にデータを追加します。
借方・貸方
賃貸借区分とは借方(かりかた)、貸方(かしかた)と呼ばれる区分です。複式簿記の様式で借方が左、貸方が右に記載されます。
勘定科目
勘定科目は取引内容のマスターで、仕入、売上、棚卸し商品などの項目があります。 勘定科目同士が親子関係になることもあります。
勘定科目の「賃貸借区分」は決算で仕分けを集計するときに利用します。 仕訳の「賃貸借区分」と勘定科目の「賃貸借区分」が一致する場合はプラス、異なる場合はマイナスで集計します。
「勘定区分」はどの決算書の項目にまとめるかを決めます。
貸借対照表(BS)
賃借対照表(BS)は、仕訳を資産科目・負債科目・資本科目の3つに分けます。
資産は現金そのものか、売れば現金になるもので、不動産・建物・仕入れてきた商品などです。手形とか売掛金と呼ばれる、いつかお金になる契約形態も資産という扱いになっています。
負債は他から借りているお金で、銀行借入だけではなく、請求書で届くような買掛金なども負債になります。
純資産は会社自体のお金で、資本金や経済活動の結果で利益が出た時の会社に残っているお金になります。
損益計算書(PL)
画像の出典 損益計算書(PL)は、仕訳の収益科目と費用科目を集計したもので、売上高からそれぞれの費用を引いて計算します。
取引データの流れ
ここからは「収益費用対応の原則」を理解するために、取引データの流れをみます。
説明の中の図で左側の図形はその取引時点でのBS、右側の図形はその取引の仕訳になります。
事業の立ち上げ
例として、100万円を元手に事業を始めます。
調達
70万を使って商品を仕入れます。 このタイミングではお金は支払わず、後日請求書払いとします。
このタイミングでは会社の資産は商品(70万) + 現金(100万) = 170万になっています。
支払
購入した商品の代金を支払います。
買掛金がなくなり、現金が100万から30万に減っています。
販売
50万円分の商品を100万円で販売します。
ここが今回のポイントになります。 販売の場合には100万円の売上だけでなく、販売した分の商品の仕入の費用を登録しています。
請求・回収
販売した商品の代金を回収します。
売掛金がなくなり、現金が130万になりました。
収益費用対応の原則
取引データの流れのなかで、販売において売上とそれにかかった仕入を登録していました。 これが「収益費用対応の原則」になります。
つまり購入した商品は販売されるまで、費用として計上されないことになります。 例えば、2月に買った商品が3月に売れたとすると、3月になるまで買った商品の費用は計上されません。
これはPLがある期間で集計する際に、損益計算の収益と費用が同じ期間になる必要があるためです。このルールがなければ、収益や費用の登録のタイミングを変更して損益をいじれてしまいます。
ルールとしては「売上の際に費用も計上する」というシンプルなものですが、このルールを知っていれば売上のタイミングでかかった費用が計算できるようになっている必要があると要件を導き出すことができます。
開発に関わる背景を知るひとつの例として、「収益費用対応の原則」のドメインナレッジを紹介しました。
おわりに
八巻からの社内勉強会の内容をまとめたレポートは以上となりますが、いかがでしたでしょうか。
記事内容をご覧いただいて、興味持った方はこちらにて、お話する機会をご用意しておりますので、ぜひご活用ください。
また社外向けに一般公開するイベントに関する情報は、キャディのCONNPASSをご用意しておりますので、こちらもご登録いただけますと幸いです。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。